こんにちは、社会不適合者のしおや(Shioyan_jp)です。
ぼくはうまく会社に、というか会社に限らず集団の中で周りに合わせて行動するのが苦手なタイプなのですが、そんなぼくのような社会不適合者タイプの人間がスッキリできるエッセイを見つけました。
それが今回オススメする『活字狂想曲』。
小説家・倉阪鬼一郎先生の会社員時代の苦悩を綴った毒吐きエッセイです。
「なんか会社に馴染めない、合わせるのがストレスたまる」という人はこれを読んで毒吐いていきましょう!
うまく合わせられないでストレス溜まってるのはあなただけじゃないですよ。
目次
会社に馴染めない小説家のエッセイ『活字狂想曲』とは
バカミス系の小説家・倉阪鬼一郎先生が、印刷会社の校正者として、11年間会社勤めをしていた頃の漫文エッセイです。
90年代頃の作品なので、古い日本の会社文化をコミカルに批判するような内容なのですが、今読んでもかなり共感できます。
時代が変わっても、集団の空気感ってのは変わらないですね〜…。
ちなみに、「校正・校閲」とは 文書などの誤りや不備を見つけて直すお仕事のことです。
2016年に石原さとみが主演した『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(宮木あやこ原作)というドラマがありましたが、あれです。(石原さとみは全然校閲の仕事してなかったけど)
倉阪先生は基本的に仕事への愛情は持っているのですが、どうにも非合理的な企業文化に馴染めない。
空気は全く読まないで浮きまくっているし、いつもは静かなのにちょくちょくブチギレてしまいます。
(上司にNOを言いまくり、バカな取引先にはバカと言います)
周りに合わせて、上司の言うことも当たり前に聞いていつも疲れている人間にとっては、著者が自分の気持ちを代弁してくれているようで、共感したり癒されたりするポイント満載のエッセイですね。
それでは、そもそもぼくたちがなんで会社に馴染めないのか、考えていきましょう。
そして倉阪先生に毒を吐いていただいてスッキリしたいと思います。
会社に馴染めない原因3つ

① 会社の人や取引先と話が合わない
集団に属している以上、いろいろな人たちとコミュニケーションをとらなければいけません。
そう、ぼくたちが苦手なあのコミュニケーションというやつです。
会社では単にバックグラウンドの違いだけでなく、親世代の人たちとも会話しなければいけませんから、コミュ障にとってはさらに会話の難易度は上がります。
どうしても当たり障りのない、一般的な話題を選ぶ必要がありますが、それがなかなか難しい。
オリンピックの結果がどうだとか、台風がどうだとか言われても、興味がなさすぎてどう話を広げたらいいのかわかりません。
いっそジョジョとか冨樫の話でも振ってくれたらいくらでも話せるのに。
倉阪先生のスタンスは一貫して我関せず。
興味のない話題には、はっきりと「はぁ。」と言います。
(よくわからないマニアックな話題にはやたらくいつきます)
オリンピックには興味がありませんと言えたらどんなにいいですかね。
「そんなことばかり気にしていないでお前の人生を生きろ」とおじさんに言ってみたいですね。
(「あまり興味がないんです」と言ったことありますが、「もっと世間のことに関心を持て」とお説教が始まりますよ)
② 会社のルールに合わせられない
ぼくが今勤めている会社では無いですが、倉阪先生の勤めていた会社では朝礼があったそうです。
みんなの前で立たされて大きな声で抱負を言ったりとか、いやですね。
いや、ほんとにあったらやるけどね。やるけど、いやです。
そこに何の意味があるのか。
あとは社内行事の類ですね。
やたら飲まされまくる飲み会、社員旅行… 行事で、年少者として出し物やれなんて言われたら耐えがたい。
上の人は団結力のためと言うかもしれませんが、人に何かを押し付けて自分の優位性を確認したり、楽しんでいるだけだと思います。
では、倉阪先生だったらどうするか。
嫌なものには嫌と言う。
社員旅行などというものは当然のこととして、欠席します。
さて、俗世間には社員旅行というものがある。当然のことながら欠席である。
金と時間のむだとしか言いようがない、と筆者は思うのだが、皆の衆は思わない。
(中略)
旅行が近づくと、総務の女子社員が頻繁に回覧などを持ってくる。
「あ、暗坂さんは行かないから、いいんだ」
と、小声で意趣ありげに言う。文句があるなら面と向かって言えばよさそうなものだ。
しかし、ここでにわかに切れて、「我、社員旅行を脱退す!」と一席ぶつけるわけにはいかない。
全身からそこはかとない鬼気を発し、君たちとは価値観が違うということをわからせてやらねばならんのである。
まったく大衆は度しがたい。
(倉阪鬼一郎『活字狂奏曲』)
キレキレですねw
ここまで突き抜けることはなかなかできませんが、ぼくたちにできないことを平然とやってのけるからそこにシビれるしあこがれます。
③ 空気感に合わせられない
例えば残業して当たり前みたいな空気感とかですね。
ぼくの会社はわりとホワイトですが、上司がパワハラをこじらせて一人ブラック企業みたいなことをやっているので、やっぱりNOと言いづらい空気感が漂ってしまっています。
倉阪先生だったら絶対残業はしないですね。
自分の仕事はキッチリ業務時間内に完了させているので、終業時間ギリギリに仕事を押し付けられそうになっても「それは自分の仕事じゃない」とはっきり言ってストレートに帰ります。
どうしてもやらざるをえない仕事を押し付けられた時は、後で物を投げてブチギレて上司をビビらせていました。
人としてどうかはわかりませんが、読んでてすっきりはしました。
会社に馴染めないのはあなただけじゃない!
うまく周りに合わせられなくてモヤモヤしている人ってきっとたくさんいると思います。
それでも『活字狂想曲』を読んで「この人よりは自分は社会に適合できているな」と慰められたし、ちょこちょこブチギレてくれるのでスッキリもしました。
こう言ったら失礼ですが、倉阪先生は文章力があって思想的にもかなり尖っているので、読んでいて痛快なんですよね。
他にも、校正中に俳句を考えてたら肝心の記事の校正を忘れてしまったりなど、意外と抜けていて好感度アップなネタもあります。
面白いエッセイなのでオススメですよ!
おまけ。
お気に入りの部分。
確かに魚か爬虫類顔のおっさんって多い…。
課長という人種は顔が似てくる。私は三十路を越えた司法浪人の顔が似てくるという不気味な光景を見たことがあるけれども、大会社の課長も同じで、例外なく魚類か爬虫類に分類される。
(倉阪鬼一郎『活字狂奏曲』)