小説の話

ミヒャエル・エンデ 『はてしない物語』をオーディオブックで読んだ話

こんにちは、考えさせてくれる小説が好きなしおや(Shioyan_jp)です。

先日、ミヒャエル・エンデの『モモ』をオーディオブックで読んだのですが、とても良かったので続けて『はてしない物語』をこれもまたオーディオブックで読みました。

ミヒャエル・エンデの作品は素晴らしいですね。

『モモ』もよかったですが『はてしない物語』も最高でした。

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大人を童心に返してくれるミヒャエル・エンデ

ミヒャエル・エンデの小説は、「難しいことをわかりやすく伝える」ことの完成形だと思います。

子どもがわかるように。

空想を膨らませて、わくわくできるように。

大事なことが伝わるように。

 

エンデの小説の切り口は「哲学 x ファンタジー」。

作品には「本当に大切なものは何か」、本質に迫る問いかけが含まれているので、大人も楽しめます。

というより子どもの頃のわくわくした気持ちを忘れ、大切なものが何か見失っている大人こそ楽しめる小説だと思います。

子どもの時に読んで、大人になってからまた読み返すという体験ができた人が羨ましい。

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『はてしない物語』をオーディオブックで読んで

▼オーディオブック版『はてしない物語』

『モモ』をオーディオブックで読んだ時も感じましたが、ファンタジーの世界観とオーディオブックの相性がとてもいいです。

というより声優さんが良いので、アニメを耳で聴いてるような不思議な感覚になります。

 

『はてしない物語』のナレーションはくまいもとこさん。

カードキャプターさくらの李小狼役やメジャーの吾郎(少年時代)役など、少年役に定評のある声優さんです。

『はてしない物語』には老若男女果ては化け物まで様々なキャラクターが登場しますが、なんでこんなに声を使い分けられるんだろうかと驚きながら聴いていました。

自分的にはアトレーユの声がかっこよかった。

おかげで世界観に入り込んで、夢中になって聴くことができました。

(くまいさん、オトバンクさん、すごく良かったです。ありがとうございます)

『はてしない物語』の徒然なる感想

ここからは作品の内容にも触れます。

ネタバレしているので注意してください。

 

 

 

本としてのギミック – 本当にはてしない物語

『はてしない物語』では本(物語)にギミックが仕掛けられています。

物語は、主人公の少年バスチアンが「はてしない物語」という本を読む形式で進行します。

ぼくたち読者が読む『はてしない物語』という本の中に、さらに「はてしない物語」がある構図ですね。

読者はバスチアンが物語を読む視点で作中の「はてしない物語」の世界を追体験します。

物語の途中からだんだんバスチアンの住む現実世界と本の中の世界がリンクし始めます。

そうするとぼくたち読者の現実世界と本の中の世界の距離も近づいたような感覚に陥ります。

(読者が出来るだけ本の中の世界に入り込めるようエンデは狙っているはず)

 

本作は前後編の二部構成になっています。

前編では「はてしない物語」の中のファンタージエンという世界を、ファンタージエンの世界の住人、もう一人の主人公アトレーユが冒険します。

ファンタジー小説として面白いのですが、「本としてのギミック」に注目した場合のハイライトは前編最後の部分。

ファンタージエンを統べる者とファンタージエンの物語を紡ぐ者(つまり作中の「はてしない物語」を書く者)が出会い、作中の「はてしない物語」は、ぼくたち読者が読む『はてしない物語』の冒頭部分まで戻り、冒頭からその邂逅シーンまでの無限ループに突入します。

説明が下手でわけがわからず申し訳ありません。

「これははてしないな〜」と痺れました。『モモ』では「時間」がテーマでしたが、今度は「パラレルワールド」で来たか!という感じ。

そして主人公バスチアンがファンタージエンに入り込み、無限ループは止まり後編から新しい物語に突入します。

自分との戦い。本当の望みとは?

後編で繰り広げられる冒険劇は前編とは少し様子が違います。

なぜなら主人公バスチアンはファンタージエンでは救い主として崇められ、何でも望みを叶えることができるからです。

いじめられっ子だったバスチアンは外見も美しくなり、力も手に入れ、怖いものはありません。

主人公最強・ラスボス不在の物語は一見おもしろくないかもしれません。

しかし、後編の真の敵はバスチアン自身なのです。

 

何かを望まないと前に進むことはできない。

しかし望みが叶えられるたびに人間世界にいた頃の記憶が失われていく。

自分の拠り所を失い、空っぽの人間になっていくが、自分が何を失ったかはわからない…。

傲慢になり、ダークサイドに堕ちていくバスチアンは、人間世界に戻ることがどんどん困難になっていきます。

バスチアンは自身の本当の望みを知り、人間世界に戻ることができるのでしょうか?

 

というお話です。

さすがミヒャエル・エンデという感じでした。

人間とは何か?生きるとは、記憶とは、望みとは、欲望とは。。

バスチアンの冒険を通して、考えるきっかけをたくさんもらえました。

終着点に辿り着くためには、精神的な成長が求められる。

単に世界を冒険しているのではなく、世界は内面世界を映し出す鏡として機能しているのが印象的でした。

 

『はてしない物語』は小説中で色々仕掛けているのに、説教くさくならず、純粋に楽しめて感動できるのがミヒャエル・エンデのすごいところです。

『はてしない物語』の読了時、成長したバスチアンの姿を見て胸がいっぱいで泣きそうになってました。

ミヒャエル・エンデの頭の中が知りたい

どうやったらこんな作品が作れるのか、ミヒャエル・エンデの頭の中はどうなっているのか知りたいです。

次はエンデの対談式の本なども読んでいく予定です。

あたたかい人間性と深い思考とユーモアを持った方ですね…。

こんな風に思考・表現ができる人になりたいなあと思うのでした。


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